『推敲』

トーマス・ベルンハルト (著) 飯島雄太郎 (訳)
破天荒かつ厭世的な世界観で文学史にその名を轟かすオーストリア人作家トーマス・ベルンハルト。その中期の長編であるこちらは、自殺した友人の遺稿を整理すべく、動物剥製師の家の屋根裏部屋にこもった主人公を、ベルンハルト節炸裂で描く。いやー、素晴らしい。¥3,960/河出書房新社
『アナザーラウンド』トマス・ヴィンターベア(監)

「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」。ウダツのあがらない高校教師4人衆は、ノルウェー人哲学者が提唱したというこの説を立証すべく、酒を飲んで授業に挑む。すると、なんかいい感じだったもんだから、どんどんエスカレートしていって……。自身もアルコール依存症気味だったフランス人哲学者のジル・ドゥルーズは「酒のみがさがすのは、最後の一杯ではなく、実はそのひとつ前の杯である。翌日にも酒を楽しむためには、最後の一つ前の杯で止め、飲みすぎてはいけない」といった意味のことを語ったことがある。まさに名言を“肝”に銘じたくなる作品だ。9月3日より全国公開。
ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-@水戸芸術館

色彩に満ちた世界をユーモアたっぷりに切り取ってみせる映像や、心地よい音楽や空間設計によるヴィデオ・インスタレーションなど、国を越えて幅広い世代の観客を魅了してきたピピロッティ・リストは1980年代からスイスを拠点に活動するアーティスト。本展は、身体、ジェンダー、自然、エコロジーを主題とした作品およそ40点で構成。この時期は臨時休館もあるので遊びに行く前にHPをチェックしよう!
TOKAS Project Vol. 4 「道と根」@トーキョーアーツアンドスペース本郷

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)とクンストラウム・クロイツベルク/ベタニエンとの交流は今年で10周年。本展では、TOKASのレジデンス・プログラムに参加経験を持つドイツ拠点のアーティストを紹介。参加作家は杉藤良江、武田竜真、シンゴ・ヨシダ、マーティン・エブナー、ヨアヒム・フライシャー、ステファニー・ガウス。休館日等はHPで要確認。
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展@銀座メゾンエルメス フォーラム

光や動力を取り込んだキネティック・アートやオプ・アートの先駆的存在で、公共の場における観客の参加を促す作品を展開した視覚芸術探究グループ(GRAV)の設立メンバー、そして、活動初期から継続する色の可能性を探求した幾何学的な抽象画で知られるジュリオ・ル・パルク(1928年アルゼンチン、メンドーサ生まれ)による日本での初めての個展「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展が銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。またとない機会なのでぜひ足を運ぼう。休館日等はHPで要確認。