<Art Traveler>田辺誠一
<ナレーター>貫地谷しほり
『闘争と統治 小泉義之政治論集成 II』

小泉義之(著)
舌鋒鋭い筆致で現代をとりまくあらゆる問題の根源をえぐってきた著者の論考集。この本では資本主義、環境問題、人工知能、死刑制度、天皇制などが議論の俎上にあがり、目からウロコが1000枚くらいは落ちること必至の考え方が示される。特に、グレタ・トゥーンベリについて書かれた「天気の大人」は、タイトルや『アベンジャーズ』が取り上げられるあたりも含めて、とても刺激的。¥2,860/月曜社
TOKAS Project Vol. 4 「道と根」@トーキョーアーツアンドスペース本郷

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)とクンストラウム・クロイツベルク/ベタニエンとの交流は今年で10周年。本展では、TOKASのレジデンス・プログラムに参加経験を持つドイツ拠点のアーティストを紹介。参加作家は杉藤良江、武田竜真、シンゴ・ヨシダ、マーティン・エブナー、ヨアヒム・フライシャー、ステファニー・ガウス。休館日等はHPで要確認。
『ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン』タバート・フィーラー(監)

PiL(パブリック・イメージ・リミテッド)とは、ロンドン・パンクの元祖セックス・ピストルズでボーカルを務めたジョニー・ロットンが、解散後に本名であるジョン・ライドン名義で結成したバンドである。本作は、2018年に結成40周年を迎えたPiLの波乱万丈な道程に、ライドン自身はもちろん、さまざまな関係者へのインタビューや資料映像を通して肉薄するドキュメンタリーだ。できれば、ライドン自身の私生活ももっと知りたかったけど(トランプ支持の真相とか)、PiLのサウンドは今もまったく古びてないことが再確認できたのでオールオッケー。8月14日より全国順次公開。
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展@銀座メゾンエルメス フォーラム

光や動力を取り込んだキネティック・アートやオプ・アートの先駆的存在で、公共の場における観客の参加を促す作品を展開した視覚芸術探究グループ(GRAV)の設立メンバー、そして、活動初期から継続する色の可能性を探求した幾何学的な抽象画で知られるジュリオ・ル・パルク(1928年アルゼンチン、メンドーサ生まれ)による日本での初めての個展「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展が銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。またとない機会なのでぜひ足を運ぼう。休館日等はHPで要確認。
MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨@東京都現代美術館

今回で17回目を迎える本展は若手アーティストの活動を通じて国内の現代美術の潮流のひとつを紹介するグループ展。未だ収束を見ないパンデミックによって複数の社会問題が顕在化した世界で、国や地域を超えて共鳴する若手アーティストたちの同時代的な表現や問題意識を提示する。参加作家は小杉大介、潘逸舟、マヤ・ワタナベ。