『愛のように感じた』イライザ・ヒットマン(監)

『17歳の瞳に映る世界』が話題のイライザ・ヒットマンの長編デビュー作だ。早く大人になりたくて焦燥感に駆られているらしい14歳の少女ライラの、ホロ苦い恋路が描かれる。まるで竹下夢二が描く女性たちのような顔のライラ(初登場シーンでは顔に日焼け止めを塗っているせいで、その印象がより強まっている)が常に浮かべている、困惑とも憂鬱とも取れる表情が忘れられない。本作はこの表情を撮るためだけに作られたんじゃないか。そんな妄想すらせずにはいられないくらい強い。8月14日より全国順次公開。
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展@銀座メゾンエルメス フォーラム

光や動力を取り込んだキネティック・アートやオプ・アートの先駆的存在で、公共の場における観客の参加を促す作品を展開した視覚芸術探究グループ(GRAV)の設立メンバー、そして、活動初期から継続する色の可能性を探求した幾何学的な抽象画で知られるジュリオ・ル・パルク(1928年アルゼンチン、メンドーサ生まれ)による日本での初めての個展「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展が銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。またとない機会なのでぜひ足を運ぼう。休館日等はHPで要確認。
『ベケット氏の最期の時間』

マイリス・ベスリー(著) 堀切克洋(訳)
『ゴドーを待ちながら』をはじめ、そこに込められた深い意味はよくわからないけど、なぜか笑っちゃう小説や戯曲や詩を書きまくり(バスター・キートン主演の映画も作っている!)、1989年に亡くなったサミュエル・ベケット。彼はその最晩年の日々をどのように過ごしたのだろうか。それを史実と想像を織り交ぜながら描いたのが、こちらの小説。ああ、すごくいい。早川書房/¥2,860
MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨@東京都現代美術館

今回で17回目を迎える本展は若手アーティストの活動を通じて国内の現代美術の潮流のひとつを紹介するグループ展。未だ収束を見ないパンデミックによって複数の社会問題が顕在化した世界で、国や地域を超えて共鳴する若手アーティストたちの同時代的な表現や問題意識を提示する。参加作家は小杉大介、潘逸舟、マヤ・ワタナベ。
メヒコの衝撃―メキシコ体験は日本の根底を揺さぶる @市原湖畔美術館

メキシコのスペインによる征服から500 年、独立から200 年にあたる今年、市原湖畔美術館が「メヒコの衝撃―メキシコ体験は日本の根底を揺さぶる」を開催。 本展は、日本とメキシコの交流の歴史を繙きながら、メキシコの歴史・風土・人・芸術に衝撃を受け自らの表現に向きあってきた8人のアーティストに焦点を当て、メキシコの何が彼らを惹きつけたのか、そのメキシコ体験を多角的に解き明かす展覧会。