
ファッション
POPEYE ONLINE STORE 第2弾 インタビュー Vol.4
原宿の『Props Store』が作ったメッセンジャーサコッシュ&フリスビー。
2022年6月25日
photo: Wataru Kitao
『POPEYE ONLINE STORE』の第2回が、6月27日(月)の12時にオープン!
これに先駆けて、今回コラボレーションした5つのショップの店主へのインタビューを公開。
原宿のセレクトショップ『Props Store』が作ったのは、浮遊時間の世界記録を持つボディで作ったフリスビーと、サコッシュとメッセンジャーバッグのいいとこ取りみたいなバッグのセット。その発想は、『Props』らしくアメリカのカルチャーにしっかりと根ざしていた。共同オーナーの土井さんに話をじっくり聞いてみよう。

Props Store × W.Z.Sac × Wham-O® × POPEYE
Park Sacoshe with Frisbee ¥19,800(tax in)
from POPEYE #800 2013年12月号「POPEYE ATHLETIC CLUB」


ーーまず、何で今回フリスビーにしようと思ったんですか?
バックナンバーの内容から何か選んで作ってくれ、っていうお話だったんで、『ポパイ』が創刊の頃から伝えてきたカルチャーが何か、考えたんです。スケートボード、サーフィン、ローラースケート、UCLA……、いろいろと考えを巡らせて、面白く作れそうだなと思ったのがフリスビーでした。800号のスポーツ特集も、フリスビーのページがあって、フリスビーが付録でついてましたから。
ーーフリスビー、フリスビー、って今回は言っていますが、「フリスビー」というのはアメリカのWham-O社が商標を持っていて、他のブランドが作るときには「フライングディスク」という一般名称を使わないといけないですよね。
そう、だから今回は正真正銘の、Wham-O社とコラボしたフリスビーです。もちろん、Made in USAです。
ーーWham-O社はフライングディスクの元祖、とも言われていて、イェール大学の学生たちがパイを焼くパイ皿を投げて遊んでいたことから着想を得て、そのパイ屋さんの名前をとってフリスビーを作った、という。
なのでグラフィックも、パイ皿を持ったおじさんにしました。


ーー最初のデザイン画は、パイ皿が大きくて金だらいかと思いました(笑)。
今のでもちょっと大きめですけどね(笑)。〈WHEELSMITH〉っていう自転車のホイール部品メーカーが元ネタで、その昔のロゴがホイールを持ったおじさんだったんですよ。そのロゴのサイズ感のまま描いちゃったんで、確かに金だらいに見えているなってことで(笑)、調整しました。
ーーパイ皿を持ったヒゲのおじさん、かわいいですね。このおじさんがくるくる回るのがなんだか楽しそうです。『Props Store』のロゴのヒゲおじさんを引っ張ってきているんですか?
それもありますね。パイ屋さんのおじさん、ってこんな感じかなっていうのもイメージして。あとは、この裏側にズラーっと入っている、型押しの文字はテンションが上がるポイントですね。機械でバンバン作る、工業製品っぽくて。
ーー「SUPER PRO」「MASTER」「WORLD CLASS」とか、文字が浮き彫りになって。大げさでちょっとバカっぽいワードチョイスがまたそそります(笑)。
実際にこのディスクはすごくて。「FB-6」といって、Wham-O社の中のファストバックという型の6代目のものなんですが、向かい風に向かって投げて自分の手元に帰ってくるまでの滞空時間を競う「MTA」という競技で世界記録を樹立したフリスビーなんです。
ーー中央が少し膨らんだこの独特な形状によって、よく浮遊するんですかね。確かに投げやすいし、初心者にも優しいフリスビーだと思います。めっちゃ飛ぶし(笑)。
『ポパイ』の800号はフライングディスクの基本の投げ方や簡単なフリースタイルをイラストで図解していて、こういうHow toはいいですよね。フリスビーは、やっぱりアメリカのものっていうイメージがあって好きです。あっちの大型のスポーツ用品店に行くと専門のコーナーがあって、フライングディスクがズラーっと並んでいるじゃないですか。だだっ広い空間に、同じものがただひたすらいっぱいあってカッコいい。ああいう光景はアメリカならではで、どこにでもあるから、根明なカリフォルニアのイメージも、僕たちが買い付けで回るような田舎町の寂れた雰囲気も、フライングディスクが繋げてくれるなって思うんですよね。



ーーこのフリスビーは、色もやばいですよね。ビタミン剤みたいな。
体に悪そうな(笑)。この「FB-6」を見させてもらったときに、バッグの構想も浮かびました。このフリスビーを入れるための内ポケットをつけたバッグにしよう、って。そのポケットの色も、このオレンジの色を拾わせてもらいました。
ーーフリスビーポケットがあるバッグ。それで今回はバッグとフリスビーのセット、っていうことなんですね。このバッグは、サコッシュのようでもあり、メッセンジャーバッグのようでもあり、絶妙なバランスで他にないデザインだなと思いました。
元ネタは僕が使ってるアメリカ製のノーブランドのサコッシュです。なんでもないペラペラのサコッシュなんですが、体にフィットさせて持つのに紐を結ばないといけないとか、マチがもう少しあったらなぁとか、やっぱりもうちょっと便利にしたくて、メッセンジャーバッグの要素を必要で面白いところだけ取り入れました。
ーーパッと見た感じはとてもシンプルですけど、よーく見ると愉快なディテールがたくさんありますね。
まずはカラーリングですね。メッセンジャーバッグ特有のパイピングの仕様を、バッグの内側に取り入れて、そのパイピングを明るいグリーンにしています。表面はホワイトベージュとブラックでシンプルだけど、フリスビーポケットはビビッドなオレンジだし、内側からそういう色がチラッと見えたりして、結構ポップです。あえて中のオレンジ色が外から少し透けて見えるような仕様にもしています。学ランの内側を好きにカスタムして楽しんでいるような、そんな感覚です。やっぱり明るい色を身につけているほうが、出かけるときに楽しい気持ちになれるよなって思って。
ーーこの表面の、3つにセパレートされたベルトはどうですか?
これはメッセンジャーバッグのパイピングが巻かれたフラップからの着想で、〈W.Z.SAC〉さんの提案です。そのままフラップにはしないで引き算をして、ブラックのパイピングを施したベルトを走らせるだけにして。セパレートにするためにステッチを入れていますが、メッセンジャーバッグによくあるお決まりのディテールを踏襲して、あえて荒めに叩いています。このベルトのおかげでバッグの顔がよくなったと思いますし、コシのある素材だからキーホルダーやスピーカーをぶら下げられたりして利便性もありますよ。


ーー実際に背負ってみると、すごく軽くて、使いやすいですね。
ショルダーストラップはバッグの側面に斜めにつけていて、これも現代のメッセンジャーバッグに必須の仕様です。これのおかげで、体にストレスなくちゃんとストラップがフィットしてくれます。ストラップをグイッと引っ張るだけで長さを調整できるようにしたのも、メッセンジャーバッグからですね。この先端に付けたアルミのDカンにはこだわりました。プリっとしたボリュームがあり、丸みがあって、使いやすいと思います。
ーープラスチックだったり、アルミでも細かったりすると、つまんだときのタッチが鋭くなりますよね。このくらいナチュラルで、指へのあたりが柔らかいのはいいなと思いました。
このDカンをつける部分は、内側のパイピングに色を合わせて、ステッチをグリーンにしました。このあたりの付属品やディテールの仕上げは、コラボしてバッグを作ってもらった〈W.Z.SAC〉の素晴らしいところですね。〈W.Z.SAC〉としても、このバッグが1年半ぶりくらいの新作なんじゃないかな。
ーーってことは、このフリスビー付きバッグは〈Wham-O〉〈W.Z.SAC〉〈Props Store〉とPOPEYEの4者コラボ、ってことになりますね。トリプルネームも超えて、多過ぎ(笑)。
でも大げさには考えないで、スーパーとかに普通に持っていって使ってほしいですね。力を抜くところは抜いて、サコッシュらしさもちゃんと残したつもりです。開き口はフラップにしないで、目立たないスナップボタンで止める程度にしているから、長い物・大きい物も突っ込みやすい。素材もバリスティックやコーデュラではない、パッカーっていうナイロンなので、折り畳むこともできる。僕は家では炊事と買い物係なので、実際に重宝してます(笑)。あと、フリスビーポケットをメッシュにしているのも便利なポイント。僕らは「アメリカン・メッシュ」なんて呼んでいるんですが(笑)、アメリカによくあるメッシュキャップと同じような網目のサイズで、中に何が入っているかちゃんと識別できる。実際にフリスビーを入れて遊びにいってほしいですけど、普通に財布とかを入れたらいいし。見えるのって、なんか楽しいでしょう?


ーー聞けば聞くほど面白いディテールが出てきて。そんな中でも作っている中で苦労したことって何ですか?
カラーリングを決めることですね。メッセンジャーバッグってカスタムして好きな色で作れたりするんですけど、結構みんな狂った色でやるんですよ。パーツや生地のパネルごとに色を変えたり。実際に僕もカスタムオーダーをしたことあるんですけど、めっちゃヒヨってめちゃくちゃベーシックにしちゃうか、気持ちを入れすぎて色の組み合わせをめちゃくちゃにしちゃうか、みんな大体どっちかなんですよね。間をとるのって結構難しくて。だから今回は、パソコン上で色見本をめちゃめちゃ作りました。100パターンくらい作りましたね。例えば「チームカラー」って思いついたら、メジャーリーグのチームも、NBAのチームも全部作ってみて。「運送会社の色」だったら世界の運送会社のカラーリングをいろいろとやってみて。そうやって実例から思いつきまで、可能性をできる限り検証しました。
ーー徹底していますね。『PROPS STORE』さんのECも、昔からずっと詳細な作りですよね。写真も多いし、ディテールやカルチャーの説明も細かくて。土井さんの、そういう作り込む姿勢の原点って何なんですか?
僕は広島県出身なんですけど、父親が東京出張から帰ってくると、自由が丘の『L.L.BEAN』(※現在は閉店)とかで通販のカタログをもらってきてくれていたんです。あれが原点だと思います。「アメリカから船で来るんだぜ」とか言われて、カッコいいじゃんって思って読み込むようになって、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のあの感じと自分の感覚が一致し始めたっていうか。その感じが原体験にあるので通販文化というものが好きなんですね。『少年マガジン』とか『少年ジャンプ』とかの後ろのほうにある筋トレの器具とか(笑)、『Boon』とかにスニーカーがずらっと並んでいるページを読んで、めちゃくちゃ憧れてました。でも、広島だから不便な思いもしたんです。そういうのを解消したい、めちゃくちゃ親切に説明してあったら嬉しいでしょ、っていう気持ちがありますね。
ーーなるほど。カタログとか雑誌とかだったんですね。
その流れで、小さい頃から目に付くものは全て読んでいました。兄が買ってくるいろんな種類のファッション雑誌とか、お父さんの『週刊実話』だろうが『週刊宝石』(※現在は休刊)だろうが、お母さんの『婦人画報』も、新聞も、とにかく家にあるものは全部。割と僕は活字中毒だったんで、一番ひどいときは、町内会が古雑誌を集めておく倉庫に閉じこもったこともあります。鍵をゲットして(笑)、その中にずっといました。漫画も何もかも、本がいくらでもあるから、手が真っ黒になるまで読んでましたね。また次の機会があれば、今度はポパイと紙ものを作りたいです。

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