FASHION

POPEYE ONLINE STORE 第2弾 インタビュー Vol.3

池ノ上の『MIN-NANO』が作った車のキャップ。

2022.06.24(Fri)

photo: Wataru Kitao

『POPEYE ONLINE STORE』の第2回が、6月27日(月)の12時にオープン!
これに先駆けて、今回コラボレーションした5つのショップの店主へのインタビューを公開。

ゴローさんこと池ノ上の『MIN-NANO』店主・中津川吾郎さんは、バックナンバーになりたてホヤホヤの車特集から、POPEYE CAR CLUBのメンバーのためのキャップを作ってくれました。ゴローさんの愛車遍歴も聞いたよ!


MIN-NANO × POPEYE
PCCF Cap ¥7,700(tax in)

from POPEYE #902 2022年6月号「車があれば! A NEW LIFE WITH MY CAR」

ーこの刺繍した車のイラスト、ゴローさんが描いたんですか?

そうなんです。今回のお話を頂いていろいろと考えたんですけど、僕もスナップで出させてもらった車特集のマーチャンダイズみたいなものを作りたいと思って、描いてみました。「POPEYE CAR CLUB FORUM」っていうページがあったので、『ポパイ』のカークラブがあったら、と仮に想定して、そのユニフォームみたいな感じで作ったのがこのキャップです。

ーなんだか“メンバー感”があるデザインですね。

たぶん、この車のイラストがいい感じに擬人化できているからかもしれませんね。目がついて、笑顔で。名前つけたくなっちゃいますね(笑)。

ーボディそのものについてはどうですか?

あんまりシュッとしてない、いい意味でダサさ・いなたさもある感じにしたかったんですよね。つなぎとか着ている人がかぶっていてもよさそうな感じっていうか。だから最初から5パネルかなーと考えていました。メーカーの既成のボディですけど、日本で流通していない型なので、アメリカから取り寄せています。

ーなるほど。クラウンが少し高めで、確かに車の整備工とかガソリンスタンドの人たちが普通にかぶっていても成立しそうな、そんな形ですね。

最近はクラウンが浅めのキャップが流行ってますけど、極端に今の時代感を反映しすぎて、というのは嫌だったので。「あの時のあれね」ってわかってしまうものではなくて、いい意味で当たり障りのない、くたくたになって10年後とかに出てきても嬉しいキャップを目指しました。車好きな人ってキャップを後ろにかぶったりもするから、そのあたりも考えてあります。バックには、ページにもあった「PCCF」の文字を入れました。

ーPOPEYE CAR CLUB FORUMの頭文字ですね。これ、実は『POPEYE』のロゴのフォントを改めて研究して「C」と「F」を正式に作ったんです。手掛けているのは、1976年創刊時のデザイナー、新谷雅弘さん。『POPEYE』のロゴを作ったアートディレクター・堀内誠一さんの愛弟子のような方で、マガジンハウスの数々の雑誌のデザインを手掛けてきた大先輩です。

#902 2022年6月号「車があれば! A NEW LIFE WITH MY CAR」特集

ーこの「P」ロゴのテカリの部分を刺繍でどう表現するのかなと思っていたのですが、同じ白でも母体と微妙に色・糸を変えているんですね。さりげなくていいし、かつ手が込んでいて、職人気質な作りだなと思いました。

この刺繍は多摩の〈LAUGH AND SUNNY DAY〉っていうところにやってもらっています。すごくしっかりと作ってくれるところなんですよ。

ーフロントの車のガラスの表現もいいですね。盛り盛りでリッチな感じだし、しっかりした刺繍だから長生きしそうな印象です。

ボディが綿で馴染むし、これがクタクタになってくるとさらにいい感じになると思いますね。縁とかが擦れてボロボロになってきてもいいと思いますし。「なんかよくわかんないけどこれかぶっちゃうんだよなー」っていう帽子になってくれたらいいですよね。

ーそのくらいの感覚でパッと手にとってかぶっていられるキャップって、結局いつまでもかぶってる気がします。

そういうのに仲間入りしてくれたら嬉しいですね。かぶって、自分の車と写真撮ってくれたりとか、そういうのいいですよね。車とのストーリーに入れてもらえたら。まだ車を持っていない若い人だったら、いつか車を買うことを夢見て、まずこのキャップを買ってかぶり倒して頑張っていこう、みたいなことになってもすごくいいですし。特集を締めていた野村訓市さんのコラム「まだ車という自由を知らない君へ。」の話も、すごくいいなって思いました。こういうご時世ですけど、車を持つっていうのもいいんじゃないかなって。持ってなきゃダメってことじゃなくてね。

ーこの車特集は、背中をそっと押す1冊にできたらいいなと思って作ったんです。買いたいけど、いろいろあるしどうしよう、っていう読者に「楽しいよ!」「この辺を狙ったらいいかもね」、あと「思い切って買っちゃえばなんとかなるよ」なんて(笑)。

僕も若いお客さんたちに「どんな車を買ったらいいかわからない」っていう話を聞いていて。まわりの人に眉をひそめられることなく、趣味のいい感じがして、乗っていて少しでも気分が高揚する、そんな車を選べるといいんですけどね。

ー特集では写真家の平野太呂さんにも取材しているんですが、「車選びは、自分の人生を考えることにすごく似ている」と言っていて。その心は、自分の財政面や、生活の中でどう使いたいのか、その車を持っていることで自分はどう見られることになるのか、例えば背伸びして買うのならそういう価値観の持ち主であること、などが選んだ1台の車に現れる、っていうことなんです。

確かにそうかもしれないですね。何も考えずにパッと買うものでもありませんから。タロくんがね、「新車のSUVには乗る気にならない」って書いていて、胸が痛くなって(笑)。

ーゴローさんは今、ランドローバーのディフェンダーで、バリバリの新車のSUVですもんね(笑)。

すみません、って感じで(笑)。でもいろんな形がありますよね。メルセデス・ベンツのGクラスを価値ある資産として選ぶとか、スーパーカーがカッコいいとか。ウチにもよく来る〈Car Service〉の子たちは「そのへんはそういうのが好きな人たちに任せて、自分達はこういうのがいい」って90年代から2000年代くらいの中古の国産車を50万円くらいで買って楽しんでる。そういうのはリアルでいいなと思うんです。ちょっと頑張ったら手が届くかもしれない車にセンスよく乗れる、っていうのは夢がありますね。

ーその人の経済力を示すものということではなくて、その人の価値観・センスが現れているものとして、車を捉えたいですね。

そうですね。だから持ち主には「なんでこの車が好きで乗っているのか」を自身の立ち居振る舞いで証明しなければいけない部分があると思うんです。センスよく、カッコよく乗るために、選ぶことや乗り方についてどれだけ考え抜けるのか。自信を持てるのか。そのへんを面倒臭がると、ついお金に頼りたくなっちゃうんですよね。『ポパイ』の次の車特集では、今の軽自動車とかに乗っている若い子たちをピックアップして、彼らなりのスタイルや生活を取材してみてほしいですね。そこから学ぶことがあれば、見え方が変わると思うんです。あの人が乗っているとアルトもカッコよく見えるな、とか。

ーなんだかワクワクしますね。

そういうのって、例えばガソリンスタンドの隅っこに止まっていたりしますよ。多分、従業員の人の車なんじゃないですかね。ああいう人たちってやっぱり車がすごく好きなので、別に高い車じゃないんだけどこだわりが詰まっているんですよね。車高が細かく調整されていてカッコいいな、とか。いつもキレイにしているとか。

ーそういうガソリンスタンドの人が、このキャップを車の中に入れてくれてたらとても嬉しいです。

ーゴローさんの愛車遍歴、聞いてもいいですか?

COMEBACK MY DAUGHTERSっていうバンドをやめた後、30代前半で初めて自分で買ったのがTOYOTAのマニュアルのハイエースでした。お店もオープンしていたから急ぎで欲しくて、30万円くらいで買いましたね。クリーニング屋さんが前に使っていて、ハンガーラックがついていたんです。その時かな、『ポパイ』のライターさんがデート特集の企画で相談しにきてくれて、「ゴローさん、車何乗ってますか?」「ハイエースです」「じゃあいいです」っつって速攻断られました(笑)。

ーそうでしたか……!

それからTOYOTAのランドクルーザー60に。実家の父親が70に乗っていて、事実上借りパクみたいな感じで僕がほぼ乗らせてもらっていたので、ランクルが好きだったんです。子供が生まれるタイミングだったし、病院にハイエースで送り迎えするのも嫌だなって思って買い換えました。止まっちゃったり、いろいろ事件があって大変でしたね(笑)。環七で大渋滞をメイクしたことあって、あれはゾッとしました。

ー恐ろしいですね……。

子供を乗せるのにこれはマズい、ってことで、次は奥さんも乗るかなと思ってBMWの1シリーズっていう小さい車を。今考えると僕はちょっとおかしくなっていたんだと思うんですけど(笑)、ランクル60と2台持ちにしたんです。当時の住まいが駐車場に2台停められたんで、それはよかったんですけど、保険とかいろいろかかるし。考え直して、次はアウディのQ5にしました。それも2年くらい、あっちこっち壊れて大変な思いをしながら乗って。そして40歳になって、レンジローバーのヴォーグ。40だし、もうランドローバーに乗ってもいいだろうということで選びました。壊れなかった車は、ないですね。ほんと車運悪くて(笑)。

ーレンジローバーも大変だったんじゃないですか?

レンジローバーも、買って1週間くらいでいきなりエンジンかからなくなって。家族とディズニーランドに行った日だったんです。「朝早く行きたい」っていうから、前日に近くのホテルに泊まって、翌朝に駐車場から出ようとしたらうんともすんとも言わなくなって。結局遅れる、っていう(笑)。ほんと大変で、おかげでレンジローバーのトラブルには詳しくなりました。そして、今は2020年式・新車で買ったディフェンダーです。

ー歴史あり、ですね。

今の車はめちゃめちゃ快適ですけれど、隣の芝生は青いと言いますか、またマニュアルに気持ちが動いています。「壊れるかもしれない」と思いながら、緊張感を持って乗るという車に、やっぱり憧れがあるんですよね。新車のディフェンダーは自分のケツに鞭を入れる気持ちで日々乗っていますけど、いつか古いビートルと2台持ちできるように、さらに頑張っていこうかなと。

プロフィール

中津川吾郎

なかつがわ・ごろう|『MIN-NANO』店主。1977年、東京都生まれ。1998年にパンクバンド・COMEBACK MY DAUGHTERSを結成。ミュージシャンとして活動しつつ、2009年に自転車とスモールブランドのアパレルを扱うショップ『MIN-NANO』を池ノ上に開業。2015年、原宿に古着も扱う『TOXGO』を共同経営の形でオープン。2020年には『MIN-NANO』のショップを拡大させ、自転車とアパレルのそれぞれの物件が通りを挟んで向かい合っている。

東京都世田谷区北沢1-43-14 ☎︎03・5465・2242 金15:00〜22:00、土12:00〜20:00 日〜木休

Instagram
https://www.instagram.com/minnnanoo/

インフォメーション

#02 「Back Number Collaboration」

POPEYE ONLINE STOREは、POPEYEの雑誌本体やPOPEYE Webを基盤にして、ページや記事の枠を飛び出して作られたものをお届けするお店です。今回は東京の5つのショップ、『CUP AND CONE』『KIOSCO』『MIN-NANO』『PROPS STORE』『SUNDAYS BEST』とコラボレーション。それぞれの店主に「思い入れのあるPOPEYEのバックナンバー」を選んで頂き、その1冊の内容をアイデアソースにして商品を作ってもらいました。

Open: 2022年6月27日(月)12:00 〜 7月10日(日)23:59:59
https://store.popeyemagazine.jp/
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